医療の質向上のための取り組み
病院における医療の質はQuality Indicator(QI:医療の質指標)と呼ばれ、病院の提供する医療行為やケアの「質」を客観的・定量的に評価・数値化するための指標です。病院を利用される方々が病院を評価する指標になりえます。
従来の単なる患者数や病床稼働率といったデータとは異なり、「どのようなプロセスで医療が行われ、どのような結果(成果)につながったか」を数値化して把握・改善するために用いられます。当院はこのQIを活用し、病院間の比較ではなく、院内での比較や分析による「病院の質」の改善に取り組み、患者さんの満足度が高く、質の高い医療の提供を目指します。
当院のQI活動
当院は2016年度から「日本病院会QIプロジェクト事業」に参加し、病院における医療の質の改善活動をスタートしました。
この事業に参加されている病院では、役割や地域の違い、患者さんの年齢層や病気の種類、重症度などが異なるため、平均値との比較だけで病院の質の優劣を判断することはできません。当院のQI並びに日本病院会QIプロジェクト事業参加施設の平均値を参考値として、わかりやすく可視化して発信することで様々な情報の見える化を行います。
QI指標
- 患者満足度(外来患者)・患者満足度(入院患者)
- 入院患者の転倒・転落発生率、転倒・転落による損傷発生率(レベル2・4以上)
- 新規圧迫創傷(褥瘡)発生率
- 救急車・ホットライン応需率
- 糖尿病患者の血糖コントロール
- 予定外再入院割合
1 患者満足度
外来患者
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 81.0% | 87.8% | 87.2% | 89.3% | 90.9% | 84.8% |
■ 指標の定義
当院は年一回、外来患者さんを対象に満足度調査を行っています。
そのうち「今後も当院を利用しますか」に対する回答を総合満足の指標として算出しています。
分子:「今後も当院を利用しますか」の設問に満足またはやや満足と回答した外来患者数
分母:患者満足度調査に回答した外来患者数
■ 当院の特徴
当院では参考値よりも高めの水準を維持できています。しかし、経年で比較すると2025年度は低下しており改善の余地がありそうです。ご意見としていただいた、待ち時間や職員の対応などについて改善に務めてまいります。
入院患者
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 89.8% | 84.7% | 87.8% | 87.2% | 89.3% | 86.0% |
■ 指標の定義
当院は年一回、入院患者さんを対象に満足度調査を行っています。
そのうち「今後も当院を利用しますか」に対する回答を総合満足の指標として算出しています。
分子:「今後も当院を利用しますか」の設問に満足またはやや満足と回答した入院患者数
分母:患者満足度調査に回答した入院患者数
■ 当院の特徴
当院は退院時にアンケートにご協力いただき、お褒めの言葉やご意見を参考に様々な改善に取り組んでいます。その成果か、入院患者さんからの評価は少しずつ向上しています。今後もみなさまのご意見を参考に、今後も快適な療養生活を送っていただけるように努めます。
2 転倒・転落発生率
入院患者の転倒・転落発生率
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 2.92% | 2.64% | 2.92% | 2.96% | 2.92% | 2.85% |
入院患者の転倒・転落による損傷発生率(損傷レベル2以上)
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 0.85% | 0.47% | 0.5% | 0.51% | 0.48% | 0.34% |
入院患者の転倒・転落による損傷発生率(損傷レベル4以上)
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 0.06% | 0.1% | 0.1% | 0.14% | 0.13% | 0.1% |
※参考値:日本病院会QIプロジェクト 参加施設の2025年度平均値
■ 指標の定義
入院中に転倒や転落した割合と、その際に損傷ができた度合いを表しています。
- 転倒・転落発生率
分子:医療安全管理室へインシデント・アクシデントレポートが提出された入院患者の転倒・転落件数
分母:入院延べ患者数 - 転倒・転落による損傷発生率(レベル2以上)
分子:医療安全管理室へインシデント・アクシデントレポートが提出された入院患者の転倒・転落件数のうち損傷レベル2以上の件数
分母:入院延べ患者数 - 転倒・転落による損傷発生率(レベル4以上)
分子:医療安全管理室へインシデント・アクシデントレポートが提出された入院患者の転倒・転落件数のうち損傷レベル4以上の件数
分母:入院延べ患者数
■ 当院の特徴
入院による環境の変化や、リハビリが進んで動ける範囲が広がった時などに、転倒・転落事故は発生しやすいと言われており、当院も同様の傾向にあります。
入院時から事故を防止するため、患者さん一人ひとりの転倒・転落の危険要因を評価し対策を立てています。しかし、その甲斐なく、骨折などの重大な事故に至ることもあります。
患者さんの高齢化、重症化と入院期間の延長が、転倒・転落の発生に影響していると考えられます。 今後も発生に至らない環境づくりを行い、事故の未然防止と発生後の重症化防止に努めます。
3 新規圧迫創傷(褥瘡)発生率
| 全国平均 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 0.80% | 0.84% | 0.88% | 1.08% |
■ 指標の定義
入院中に新たにできた圧迫損傷(褥瘡)の発生状況を表しています。褥瘡は一般的に「床ずれ」とも言われるもので、骨が突出している場所などに圧力がかかって出来た傷のことをいいます。
分子:調査期間中にd2(真皮までの損傷)以上の院内新規圧迫創傷発生患者数
分母:調査期間初日(0時時点)の入院患者数+調査期間に新たに入院した患者数
*2023年度より指標の算出方法が見直されました。
■ 当院の特徴
入院時や日々のケアの中で、褥瘡発生のリスク評価を行い、予防や早期発見・早期治癒に向けて取り組んでいます。
しかし、参考値と比較して、当院の発生率はやや高くなっています。患者さんの高齢化と入院期間の延長も影響していると考えられます。今後も予防対策の徹底や早期発見による発生率低下に取り組んでまいります。
4 救急車・ホットライン応需率
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 84.2% | 57.9% | 55.9% | 62.8% | 65.8% | 75.4% |
| 年間救急受け入れ件数 | |
| 年度 | 件数 |
| 2025年度 | 2262件 |
| 2024年度 | 2369件 |
| 2023年度 | 2561件 |
| 2022年度 | 2180件 |
| 2021年度 | 2083件 |
■ 指標の定義
救急医療の機能を測る指標であり、救急車受入れ要請のうち、当院で受け入れた割合を応需率として表しています。
分子:救急車で来院した患者数
分母:救急車受け入れ要請人数
■ 当院の特徴
応需率増加に向けてさらなる体制の充実などを図り、今後も積極的な受け入れに向けて取り組んでまいります。
5 糖尿病患者の血糖コントロール
糖尿病患者の血糖コントロール(HbA1c<7.0%)
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 53.8% | 51.5% | 51.3% | 51.2% | 49.7% | 53.8% |
65歳以上の糖尿病患者の血糖コントロール(HbA1c<8.0%)
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 80.1% | 85.3% | 87.1% | 86.3% | 85.6% | 86.4% |
※参考値:日本病院会QIプロジェクト 参加施設の2025年度平均値
■ 指標の定義
- 糖尿病患者の血糖コントロールHbA1c 7.0%未満
分子:HbA1c(NGSP)の最終値が7.0%未満の外来患者数
分母:糖尿病の薬物治療を施行されている外来患者数(過去1年間に糖尿病治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者) - 糖尿病患者の血糖コントロール65歳以上HbA1c8.0%未満
分子:HbA1c(NGSP)の最終値が8.0%未満の65歳以上の外来患者数
分母:糖尿病の薬物治療を施行されている65歳以上の外来患者数(過去1年間に糖尿病治療薬が外来で合計90日以上処方されている患者)
■ 当院の特徴
HbA1cは糖尿病の治療目標として最も有用な指標であり、患者さんの健康状態、年齢、低血糖の生じやすさなどを考慮して個々の方に適した目標を設定し管理しています。
当院は平均より良いレベルでのコントロールができています。 今後も継続して、コントロール不良の患者様に対して、外来診療や各種指導、教育入院などを通じて改善を図ってまいります。
6 予定外再入院割合
退院後4週間以内の予定外再入院割合
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 2.9% | 3.1% | 3.12% | 3.4% | 2.8% | 3.1% |
退院後7日以内の予定外再入院割合
| 全国平均 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| 1.1% | 1.2% | 1.1% | 1.2% | 1.2% | 1.2% |
※参考値:日本病院会QIプロジェクト 参加施設の2025年度平均値
■ 指標の定義
- 退院後4週間以内の予定外再入院割合
分子:分母のうち前回退院から4週間以内に計画外で再入院した症例
分母:退院症例数 - 退院後7日以内の予定外再入院割合
分子:分母のうち前回退院から7日以内に計画外で再入院した症例
分母:退院症例数
■ 当院の特徴
退院後早期に予定外の再入院となる理由には、一定の割合で発症する医学的にやむを得ない合併症のほか、入院時治療が不十分であった可能性や、回復が不完全な状態で早期退院を強いた可能性などが考えられます。ただし、同一疾患での再入院に限定していないため、さまざまな要因の影響も考えられます。
今後も質のよい医療を提供し、早期予定外再入院の抑制に努めます。
なぜQIを活用するのか(目的とメリット)
- 医療の質の継続的な改善(PDCAサイクルの推進)
自院のデータを時系列でモニタリングすることで、医療事故防止やケアの標準化を図り、改善活動に役立てます。 - 情報の透明性と患者への情報開示
データをWEBサイト等で公表することで、受診者や地域住民に対して「安心できる医療を提供していること」を客観的に伝えます。 - 他施設との比較(ベンチマーク)
厚生労働省や日本病院会の「QIプロジェクト」などの全国集計と比較することで、自院の強みや課題を把握できます。