診療科からのご挨拶
当院において、呼吸器内科の常勤医が不在の期間もありましたが、2022年10月から私が呼吸器診療を担当しています。
呼吸器内科では、肺癌、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、肺炎などの感染症など、幅広い疾患に対応しており、良性から悪性まで様々な症例を扱っています。
特に肺癌の診療において、診断から治療、そして緩和ケアに至るまで、Shared Decision Making(質の高い医療決断を促進するために、最適なエビデンスと患者の価値観、好みを統合させる、医療者と患者間の協力的なコミュニケーションプロセス)を重視しています。
現在、常勤医が1名しかおりませんので、一部の疾患、例えば間質性肺炎などについては、当院では診療を行っておらず、その際は他の専門施設へのご紹介をさせていただいております。
地域の皆さまに対して、安心で安全かつ高品質な専門医療を提供できるように、今後も努力してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
診療科の特色・活動内容
当科では、肺癌に対する化学療法を主に行っております。近年、肺癌治療の進歩が著しく、治療成績が大幅に向上しております。従来の化学療法も肺癌治療において依然として重要な役割を果たしており、治療中の不快な症状を軽減するために制吐剤などの支持療法も積極的に行っております。
また、免疫チェックポイント阻害剤の導入により、以前は予後が不良であったstageⅣの切除不能進行非小細胞肺癌においても、5年生存率が10-30%程度期待される疾患となっています。また、増加し続ける分子標的薬も特定の患者に対して積極的に使用しております。
近年のトピックとしては、免疫チェックポイント阻害剤を含む周術期治療について、胸部外科との連携を強化し、最適な治療方針を提供しております。ただし、当院では放射線治療を行うことができないため、局所進行非小細胞肺癌や限局型小細胞肺癌、転移性骨腫瘍、転移性脳腫瘍など、緩和照射が必要な症例については、近隣の施設にて治療を依頼させていただいております。当院では、患者様の最善のケアを提供するため、専門的な知識と経験豊富な医療チームがお手伝いさせていただきます。
現在行っている治療
肺癌
当科では、外科手術以外を除く肺癌に関する診断、薬物療法、緩和ケアなどを包括的に行っております。当院の特徴として、依然として喫煙と関連した小細胞肺癌症例が多く、免疫チェックポイント阻害剤を併用した化学療法を積極的に行っております。
気管支喘息
気管支喘息は、頻度の高い呼吸器疾患の一つです。当院では、呼気NO検査を通じて気道炎症の状態を評価し、適切な治療薬(吸入ステロイド薬など)を調整しております。症状が安定すると、近隣のかかりつけの医師に治療を引き継がせていただいております。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは、喫煙や環境の要因によって肺が損傷され、呼吸が困難になる疾患です。未診断の患者が多いため、関連症状を持つ患者に対して呼吸機能検査などを行い、診断を行っております。治療は主に吸入療法を中心に行い、症状が安定すると、かかりつけの医師に治療を引き継がせていただいております。
スタッフ
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平野 勝也
主な資格
- 日本内科学会(総合内科専門医)
- 日本呼吸器学会(指導医・専門医)
- 日本肺癌学会
- 日本臨床腫瘍学会