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診療科部長からのご挨拶

泌尿器科では泌尿器科領域の疾患全般について診療いたします。外来診察は月曜日から土曜日までの午前中、毎日実施しています。

 泌尿器悪性腫瘍(腎癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍など)に対しては、手術をはじめとし、抗癌剤治療を含めた集学的治療を診療ガイドラインに基づいた標準治療に準拠しながらも、個々の患者さんの年齢、病期、希望などを考慮し、最適な治療を提供できるよう心がけています。

また、手術療法においては、多くの手術を経尿道的内視鏡手術や腹腔鏡手術で行い、できるだけ低侵襲な治療を実施しきましたが、この度、より精度が高く、低侵襲で、安全に手術することが可能な手術支援ロボット(ダビンチ:da Vinci Xi)を導入しました。

現在、前立腺癌に対する外科的治療として、ロボット支援手術は標準的治療となっています。当院では2024年1月よりロボット支援前立腺全摘除術を開始し、その後、順次、腎癌(腎部分切除術)、腎盂・尿管癌、膀胱癌などに対してもロボット支援手術を行う予定です。

ロボット手術とは

 ロボット手術とは、手術支援ロボットを使用した腹腔鏡手術のことで、術者が拡大された3D画像を見ながら、従来の腹腔鏡手術では難しい角度の視野確保やロボット専用の鉗子が人間の手首以上の可動域で手ブレなく操作できるため、非常に精緻な手術を行うことができます。

ロボット手術のメリットについて

  1. 傷口が小さい
  2. 出血量が少ない
  3. 術後の疼痛が少ない
  4. 回復が早い
  5. 機能温存に優れている
  • 尿路結石に対しては、小さい結石であれば自然に排石する人もいますが、大きい結石や自然に排石しない場合は結石破砕術の適応となります。また、疼痛が続けば日常生活に支障を来たしますので、できるだけ手術までの待ち時間を短く結石破砕術を提供できるよう心がけています。当院では経尿道的結石破砕術(TUL:レーザーで破砕します)を年間70件程度行っております。なお、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は2023年10月末をもちまして終了いたしました。
  • 排尿困難、頻尿、尿意切迫感、尿失禁などの排尿障害でお困りの人は、お気軽に外来に受診してください。男性では前立腺肥大症をはじめとする排尿障害治療を行っています。内服治療では効果不十分な前立腺肥大症に対しては内視鏡手術を行っています。また過活動膀胱、尿失禁に対しては内服治療を行っています。
  • また、令和3年から「大阪市前立腺がん検診」にも協力する体制をとり、大阪市民の前立腺癌の早期発見・早期治療に貢献しています。

NCD事業の参加について

 医療の現状を把握し、より安全で質の高い医療を提供することを目的とした事業(NCD:National Clinical Database)に、2018年4月1日より泌尿器科も参加することになりました。
 内容に関しては個人情報保護法に基づき個人情報(特に個人名等)が病院外で特定されることのない形で提出されますので、ご理解の上ご協力の程よろしくお願いします。

医療機器の紹介

手術支援ロボット ダビンチ(da Vinci Xi)

Da Vinci Xiはペイシェントカート、ビジョンカート、サージョンコンソールの3つの機械で構成されています。

(A) ペイシェントカートは、患者さんの患部に挿入する3本の鉗子を取り付けるアームと、術野を確保するカメラを取り付けるアームの4本から構成されているロボットの本体です。サージョンコンソールで操作している医師の手の動きを正確に再現し手術を行います。人の手より大きな可動域と手ブレ補正機能を備えており、人の手の動きを緻密に再現するため、正確かつ安全な操作が可能です。

(B) ビジョンカートは、ペイシェントカートから送られる画像を拡大したハイビジョン3D画像として映し出され、手術助手や手術スタッフも同じ画像が共有されます。

(C) サージョンコンソールは、術者が患者さんの体内をリアルな3D画像で見ながら操作して手術を行う操作台です。

経尿道的結石破砕術(TUL)

経尿道的結石破砕術(TUL)は麻酔下(全身麻酔あるいは腰椎麻酔)で、硬性尿管鏡(rigid TUL:以下r-TUL)や腎盂尿管ファイバー(flexible TUL:以下f-TUL)を尿道から挿入し、尿管あるいは腎内の結石を拡大されたモニターで確認しながら砕石します。砕石装置は硬い結石に対しても砕石効果の高いホルミウム・ヤグレーザーを使用しますので、確実な砕石が可能です。破砕された結石片は細い鉗子を用いて可及的に摘出します。

患者さんの結石の部位、大きさによりr-TULとf-TULを使い分け、治療成績の向上に努めています。
特に軟性腎盂尿管ファイバーは画像の解像度に優れたデジタルスコープ(OLYMPUS社製 URF-V3)を使用していますが、リユースタイプの軟性腎盂尿管ファイバーでは対応困難な結石に対してはシングルユースタイプの軟性腎盂尿管ファイバー(OTU社製 WiScope)を導入しています。WiScopeは軽量・高画質でさらに先端が細径で湾曲角度も大きく、下腎杯の結石や大きな腎結石を破砕する際に有用で、通常のTULでは治療困難な15mm以上の腎結石でも対応可能です。

TULは合併症の少ない低侵襲な治療ですが、注意を要する合併症として尿路感染による発熱(腎盂腎炎、敗血症)があります。原因として灌流液による腎盂内圧の上昇が関連しているため、当院では圧コントロールされた送水により腎盂内圧を一定に保ちながら破砕できる最新の装置(STORTZ社製 エンドマットSELECT)を導入しました。その結果、エンドマット使用例では現在のところ術後発熱性尿路感染症の合併は見られなくなりました。
入院期間は手術前日入院で4~5日間程度です。

腎盂尿管ビデオスコープ
シングルユースタイプ 腎盂尿管ビデオスコープ
ホルミウム・ヤグレーザー
f –TUL
術中写真

TURisシステム

膀胱癌、前立腺肥大症に対する経尿道的手術(TUR)は、従来灌流液に非電解質溶液を用いていたため、低ナトリウム血症(TUR症候群)という合併症を起こす可能性がありました。

当院では、灌流液として生理食塩水(電解質溶液)を使用するTURisシステムを導入しています。これにより、低ナトリウム血症は起こりません。また、このシステムを用いることで手術中の閉鎖神経反射が起こりにくく、TURの合併症である膀胱穿孔を起こしにくくなります。さらに切除した部位からの出血を減少させる効果もあり、安全で確実な合併症の少ない手術が可能です。

高周波焼灼電源装置
TURisの原理
経尿道的前立腺切除術
経尿道的膀胱腫瘍切除術

内視鏡システム

近年、内視鏡外科手術は体に負担が少ない低侵襲な手術として、消化器外科、胸部外科、泌尿器科などで幅広く普及しています。当院のシステムはフルハイビジョン(フルHD)使用による観察性能向上により、安全・安心・高効率な内視鏡手術が可能です。
また、軟性内視鏡の導入により、術野の正面視だけでなく、対象物の側面や裏側の観察も可能となり、より安全で確実な合併症の少ない手術が可能となります。

内視鏡システム

手術実績

  2017年2018年2019年2020年2021年2022年
腎臓手術根治的腎癌摘出術(腹腔鏡下)1128865
根治的腎癌摘出術(開腹)000100
腎盂尿管癌全摘出術(腹腔鏡下)2521054
腎盂尿管癌全摘出術(開腹)100000
腎癌部分切除術(腹腔鏡下)000101
副腎・
後腹膜手術
副腎腫瘍摘出術(腹腔鏡下)020111
膀胱手術膀胱全摘除術(開腹)421211
膀胱全摘除術(腹腔鏡下)002220
経尿道的膀胱腫瘍切除術706898909372
尿膜管腫瘍摘除術(腹腔鏡下)000200
前立腺手術前立腺悪性腫瘍手術(開腹)521310
経尿道的前立腺切除術161018232015
尿路結石関連手術経尿道的腎尿管結石砕石術(レーザー)336260715569
経尿道的膀胱結石砕石術15918181312
膀胱切石術001111
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)343732312611
尿道・陰茎・陰嚢手術精巣悪性腫瘍手術313222
精巣捻転手術021100
陰嚢水腫根治術585127
包茎手術675799
経尿道的尿道狭窄手術766536
陰茎コンジローム焼灼術611518246
生検・その他前立腺生検949610110010092
経尿道的尿管ステント留置術91108119106112124
その他232332332935
総手術件数総手術件数(前立腺生検含む)*392424486506480462
総手術件数*+ESWL426461518537506473

スタッフ一覧

  • 竹垣 嘉訓

    竹垣 嘉訓

    主な資格

    • 日本泌尿器科学会専門医/指導医
    • 日本泌尿器内視鏡学会技術認定医
  • 豊川 起弘

    豊川 起弘

    主な資格

    • 日本泌尿器科学会専門医/指導医
    • 日本泌尿器内視鏡学会技術認定医
    • 日本透析医学会専門医
  • ⻑野 祐樹

    ⻑野 祐樹

    主な資格