ご挨拶
当院のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち『南大阪病院 内視鏡センター』は、皆さまの健康を守るため、安心して受診いただける環境を整えております。
内視鏡検査に対して不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちは患者さま一人ひとりに寄り添い、できるだけ負担の少ない検査・治療を心がけています。
このホームページが、皆さまの健康に役立つ情報を提供し、不安を少しでも和らげるお手伝いができれば幸いです。何かご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
南大阪病院 内視鏡センター スタッフ一同

安心・安全な内視鏡検査と治療
南大阪消化器内視鏡センターは、地域の基幹病院として、安心・安全な内視鏡検査・治療を提供しています。内視鏡センターでは最新の内視鏡機器を備え、経験豊富な専門医が対応し、年間1万件以上の内視鏡検査・治療を実施しています。
内視鏡センターでの検査・治療
- 消化器内視鏡検査:上部消化管(食道・胃・十二指腸)・下部消化管(大腸)
- 呼吸器内視鏡検査:気管支鏡
- 内視鏡治療:早期がん(ESD)、胆管結石・がん(ERCP)など
内視鏡治療では技術的難易度が高いとされる、早期の胃がん・大腸がん・食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行い、困難症例にも対応しております。また、胆管結石やがんに対する内視鏡治療(ERCP)に対しても年間350件以上を施行し、さらに緊急にも対応しています。
センター紹介
施設認定
- 日本内視鏡学会指導施設
- 大阪府がん診療拠点病院
- 地域医療支援病院:2025年4月より地域医療支援病院になります
※初診時に紹介状がない場合、選定療養費7,700円が必要になります
かかりつけの先生からの紹介状、もしくは内視鏡による精査必要となっている検診結果をご持参いただけば不要です
スタッフ構成
- 医師:常勤医9名(消化器内科8名、呼吸器内科1名)、非常勤医(大阪公立大学病院より5名)
- 看護師:9名(うち内視鏡技師資格5名)
- 臨床工学技士:4名(うち内視鏡技師資格2名)
内視鏡センター専属スタッフが多く在籍し日々の内視鏡診療に携わっています
安全管理や器具の取り扱いに細心の注意をはらうことを全てのスタッフが心がけております

消化管領域検査
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
対象疾患:食道・胃・十二指腸にできる炎症・潰瘍・ポリープ・がんなど
検査時間:月~土曜午前中 検査前日22時以降は絶食 水分のみ可
- 鎮静剤使用可
眠った状態で楽に検査を受けていただくことができます。検査当日に担当者が鎮静剤の希望について確認させていただきます。ただし、鎮静剤を使用した場合は、当日は乗り物の運転はできません。鎮静剤を希望されない方は、細径スコープを用いた経鼻内視鏡検査で検査させていただくと比較的楽に検査をうけていただけます。 - 経鼻内視鏡にも対応できます
鼻から挿入する経鼻内視鏡検査も可能です。非常に細い内視鏡のため、えずきにくく原則鎮静剤を使用しないため検査終了後しばらく休む必要がありません。この場合は車やバイク、自転車の運転も問題ありません。 - 当日胃カメラ検査にも対応できます
前日21時以降絶食の方(水・お茶はのんでいても問題ありません)には当日、消化器内科の外来受診をしたうえで胃カメラを受けて頂くことが可能です。ただし、午前中の検査になりますので11時までに来院してください。医師の診察を受けて頂いてから胃カメラ検査をうけて、その後また診察があります。しかし、感冒症状のある方には対応できません。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
対象疾患:大腸にできる炎症・ポリープ・がんなど
検査時間:月~土曜午後(曜日によっては10時半からの午前中に対応可)
大腸に便が残っていては十分な検査ができません。検査までに食事の制限と下剤の服用が必要です。検査前日は消化のよいお食事をとっていただき、眠前に粒の下剤を内服していただきます。検査当日は朝・昼は絶食になります。起床されましたら水分500mlほど飲んでから、液状の下剤を内服していただきます。通常は2-3時間で排便があります。ご自宅で下剤と飲んでいただくことを基本としていますが、院内で下剤を飲んでいただくことも可能です。
- 鎮静剤使用可
鎮静剤を注射し、眠った状態で楽に検査を受けていただきます。鎮静剤を使用した場合は、当日は乗り物の運転はできません。検査当日に担当者が鎮静剤の希望について確認させていただきます。 - 大腸カメラの実際
検査着に着替えてから点滴の針を留置します。その後、検査室に移動し、検査台の上に仰向き、もしくは左向きにして寝て頂きます。肛門より内視鏡を挿入し、大腸の奥にすすめていきます。小腸とのつなぎ目まで挿入したのちに、水で洗いながら大腸粘膜を観察します。通常の検査は10-15分程度で終了します。大腸に空気がはいること、内視鏡により大腸が引き伸ばされることにより、お腹の張りや痛みが生ずることがあります。鎮静剤を使用するとほぼ眠った状態で楽に受けて頂けます。 - ポリープ切除対応(大きさにより外来または入院処置になります)
ポリープ(将来的に癌になる可能性があるイボ)が見つかった場合、小さなポリープでは外来で金属の輪っかをひっかけて切除します。大きなポリープや悪性が疑われる場合には輪っかに電気を流して切除する必要があるため、日を改めて後日入院のうえでの切除を行います。
組織検査、止血術、ポリープを切除した場合には料金の加算がありますのでご了承ください。
呼吸器領域検査
気管支鏡検査
対象:肺の異常(レントゲン・CT異常影)、痰の詰まりなど
レントゲンやCTで肺に異常を指摘されたときに、診断目的で気管内に内視鏡をいれ、病気の診断のために組織サンプルを採取したり、何か異常がないか観察したり、詰まった痰や異物を除去したりします。
検査時間:火曜日の午前
入院必須(最短2泊3日):検査だけでも入院での対応です
- 鎮静剤使用、透視下で実施
検査前にうがいや喉に噴霧することで、のどの局所麻酔を行います。その後、透視台へ移動し仰向けに寝ていただきます。肩に鎮静剤や安定剤を注射し、その後点滴で鎮静剤を注射し眠っていただきます。
消化管領域治療
1. 早期がんに対する内視鏡治療(ESD)
対象:食道・胃・大腸の早期がん
NBI(Narrow band imaging)などの画像強調内視鏡と拡大内視鏡を併用して、癌や前がん病変の診断を行い、内視鏡治療が可能な病変に対しては、ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)などを食道・胃・大腸に対して行っています。ESDは、食道・胃・大腸の早期がんや大きなポリープを、お腹を切らずに内視鏡で取り除く治療です。従来のポリープ切除(内視鏡的粘膜切除術:EMR)では難しかった大きな病変や、粘膜下層に少し入り込んだがんも、安全にしっかりと取り除けるのが特徴です。
当院では食道・胃・大腸のESDを積極的に実施しており、専門の医師が治療を担当しています。ESDは高度な技術を要する治療ですが、当院では経験豊富な消化器内視鏡専門医が担当し、安全かつ確実な治療を行っています。
2024年度実績:食道16件、胃76件、大腸30件
2. 消化管ステント留置術
対象:がんによる狭窄による通過障害(食道・胃・十二指腸・大腸)
消化管ステント留置術は、食道・胃・十二指腸・大腸などの通り道(消化管)が狭くなったときに、金属製のチューブ(ステント)を入れて広げる治療法です。がんによる狭窄(食事が飲み込みにくい、便が出にくいなど)や、手術が難しい場合の緩和治療(できるだけ快適に食事を取れるようにする)に対して行います。
3. 静脈瘤硬化療法(食道・胃静脈瘤)
対象:肝疾患による食道・胃静脈瘤
食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)は、肝臓の病気などが原因で食道の血管が異常に膨らんだ状態です。破れると大量に出血し、命に関わることもあります。これを防ぐために内視鏡(胃カメラ)を使って、静脈瘤に特殊な薬剤を注射し、血管を固めて出血を防ぐ治療です。
食道静脈瘤が大きく、破裂のリスクが高い人や すでに出血したことがあり、再発予防が必要な人に対して行います。
4. ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
対象:胆石・黄疸・胆管/膵管腫
ERCPは、内視鏡を使って胆管や膵管に造影剤を注入し、必要に応じてステント挿入や結石の除去を行います。 通常の胃カメラと違い、レンズが内視鏡の横についた側視鏡を用いて十二指腸まで進め、そこから細い管を使って胆管や膵管に造影剤を入れ、レントゲンで詳しく確認します。
胆石が詰まって黄疸(皮膚や目が黄色くなる)が出たとき、ナイフで切開して結石を除去します。また、胆管や膵管に腫瘍が疑われるとき、胆汁や膵液を採取して癌の診断をしたり、 胆汁や膵液の流れが悪くなっているときにチューブを入れて流れをよくしたりします。
当院は 年間350件以上の実績で、経験豊富な専門医が対応しています。
5. イレウス管挿入
対象:腸閉塞(イレウス)
鼻から内視鏡を用いて長い管(イレウス管)を腸管内まで進めて腸内の圧を下げます。イレウス管は、腸の通りが悪くなったとき(腸閉塞:イレウス)に、腸の中のガスや液体を排出し、お腹の張りや痛みを和らげるためのチューブです。腸閉塞(イレウス)でお腹が張って苦しいとき、嘔吐を繰り返し腸の中の内容物が流れにくいときや手術を回避するため保存的に治療したいときに留置します。鼻から内視鏡を用いて、イレウス管を腸までを進め、ガスや液体を排出し、腸の動きを回復させ、自然に通過するのを待つ治療です。イレウス管によって腸の圧力が下がると、腸のむくみが改善し自然に通るようになることがあります。イレウス管で腸閉塞が改善しない場合には手術が必要なこともあります。
6. 内視鏡的止血術
対象:胃・腸からの出血(潰瘍・ポリープ出血など)
胃や腸からの出血は、放っておくと貧血やショックの原因になります。内視鏡的止血術は、内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)を使って出血している部分を特定し、止血する治療です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍による出血、 食道静脈瘤破裂、大腸のポリープからの出血などに行います。 出血の部位や出血の程度により、以下のようなさまざまな方法があります。
- クリップ法:出血している血管を金属のクリップで挟んで止める治療法です。
- 薬剤注入法:出血部位に止血剤を注射します。
- 電気焼灼法:高周波を使って血管を焼いて止血します。
7. 胃瘻交換・造設術(PEG)
対象:経口摂取困難な方
新規造設:木曜午前、入院必要
交換:木曜午前 外来対応可
胃瘻(PEG:Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)とは、口から食事をとることが難しい方のために、お腹に小さな穴を開け直接胃に栄養を届けるためのチューブを設置する処置です。脳梗塞や神経疾患で飲み込む力が弱くなった方や長期間にわたる経管栄養が必要なときに、安全に栄養を供給し生活の質を維持したいときに造設が考慮されます。
- 胃瘻造設(新しく作る)
胃カメラを使い、お腹の外から胃へチューブを造設します。内視鏡室で静脈麻酔を使用し通常30分程度で行います 入院が必要となります。 - 胃瘻交換(チューブの入れ替え)
胃瘻チューブは半年ごとの交換が必要です。 交換は短時間で完了し、外来でも対応可能です。
まとめ
当センターでは、患者さんに安心して検査・治療を受けていただくことを最優先に、最先端の内視鏡技術を提供しています。 検査・治療に関するご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
南大阪病院 内視鏡センター長 中谷雅美