臨床検査科について
臨床検査科は検体検査(血液・尿などの検査と輸血検査)、生理機能検査(心電図、超音波検査など人体の検査)、病理検査(手術や内視鏡検査から採取された組織検査、尿、穿刺液などの検体による細胞診検査)を行う3部門からなっています。
スタッフ
臨床検査管理医1名を顧問に、臨床検査技師32名、看護師4名で当院検査室と関連施設の健診センターの検査業務を行っている。
認定施設
- ISO15189認定施設(認定番号 RML03280)
- 品質保証施設認証制度認定施設(第24-0190号)
- 日本輸血・細胞治療学会 認定輸血検査技師制度指定施設(No.189)
- 日本臨床細胞学会 認定施設 (No.803)
外部精度管理調査参加
- 日本医師会 臨床検査精度管理調査
- 日本臨床検査技師会 臨床検査精度管理調査
- 大阪府医師会 臨床検査精度管理調査
- 大阪府臨床検査技師会 臨床検査データ標準化サーベイ
- 日本臨床細胞学会 コントロールサーベイ
外部精度管理調査団体名 | 評価 |
---|---|
日本医師会 | 93.9点 |
大阪府医師会 | 91.8点 |
日本臨床衛生検査技師会 | 評価A+B 98.8%、評価C 0.4%、評価D 0.8% |
部門
1.検体検査部門
検体検査部門は、採血、一般検査、血液検査、生化学・免疫検査、輸血検査を担当しています。
(1)採血
採血は看護師と臨床検査技師が実施しており、安全を第一に採血量も最小にとどめるよう努めています。自動採血管システムを用い、患者誤認を防ぐシステムが構築されています。
(2)一般検査
主に尿、糞便、脳脊髄液、穿刺液の検査を行っています。
尿中のpH、蛋白、糖、潜血などの測定のほか、顕微鏡下で尿中の細胞成分(血球、上皮細胞、円柱、結晶など)を調べます。
糞便検査は固形便、軟便、水様便などの形状を調べるほか、消化管内での出血の有無を調べる潜血反応、顕微鏡を用いて寄生虫卵や原虫を調べる検査などがあります。
(3)血液検査
血液中に含まれる赤血球、白血球、血小板の数の算定、ヘモグロビン量の測定などのほか、顕微鏡を用いて血球の形態異常を調べる検査を実施しています。また、出血を起こし止まらなくなる血液凝固異常の診断や治療のために出血時間、血液凝固機能などの検査も行っています。
(4)生化学・免疫検査
生化学検査では、総タンパク、アルブミン等のタンパク質、尿素窒素、クレアチニン等の窒素化合物、コレステロール、中性脂肪等の脂質、ビリルビン等の色素、ナトリウム、カリウム等の電解質、鉄等の金属、AST、ALT等の酵素の測定を、免疫検査では、腫瘍マーカー、肝炎ウイルス関連検査、甲状腺ホルモン、心疾患関連検査、炎症マーカー等を測定しています。
(5)輸血検査
血液型検査(ABO式、Rh式)、交差適合試験、不規則抗体検査などの検査と、輸血用血液製剤(赤血球製剤、新鮮凍結血漿、濃厚血小板)とアルブミン製剤の発注、保管管理、各部署への払い出し、輸血歴の管理を行っています。
また、自己血の採血補助と保管管理をおこなっています。 輸血療法委員会を開催し、廃棄率、使用状況等の報告を行っています。
(6)微生物検査
血液、尿、喀痰、糞便、分泌物、膿などから、感染症の原因となっている病原微生物を検出し、抗生物質に対する効果を調べています。また、インフルエンザ、ノロウイルス、コロナウイルスなど感染力の強いウイルスの検査も行っています。
2.生理機能検査部門
(1)心電図検査
心臓の筋肉(心筋)は、血液を全身に送り出すため規則的に収縮・拡張しており、その時に微弱な電気信号を発生させています。心電図検査は、手足や胸に電極を付けて、心臓の電気信号を波形として記録し、心臓の状態を調べる検査です。不整脈(脈の乱れ)や心筋虚血(心筋への酸素供給の不足状態)などを知ることができます。検査時間は約3~5分です。
(2)負荷心電図検査(マスター負荷心電図検査・トレッドミル負荷心電図検査)
2段ある階段を昇ったり降りたり、ベルトの上を歩いたり走ったりして、心臓に運動負荷を加え、その前後の心電図を記録する検査です。潜在性の虚血性心疾患の発見に役立ちます。検査時間は約20~30分です。
(3)24時間ホルター心電図検査
胸に4枚の電極(シール)を付けて小型の記録器を携帯し、24時間の心電図を記録する検査です。
不整脈や虚血性心疾患の診断・治療効果の判定に有用です。
(4)血圧脈波検査(CAVI/ABI/TBI検査)
腕と足首や趾(足ゆび)に血圧計を付けて、それぞれの血圧と脈波を測定し、動脈硬化の程度を調べる検査です。動脈硬化により起こる末梢動脈疾患は、心血管疾患や脳血管疾患など、他臓器障害との合併が多く見られ、早期発見が重要です。検査時間は約15~20分です。
CAVI:Cardio Ankle Vascular Index(心臓から足首までの動脈の硬さ)
心臓から足首へ脈の伝わる速度を計測することにより、血管の硬さを調べる検査です。
動脈硬化の程度を定量的に見ることができ、年齢と良く相関することから、老化を反映する指標としての有効性も知られています。
ABI:Ankle Brachial Index (腕と足首の血圧比)
下肢動脈の狭窄や閉塞を評価する検査です。
TBI:Toe Brachial Index (腕と趾の血圧比)
足首よりも末梢の、足の趾(ゆび)までの動脈の狭窄や閉塞を評価する検査です。
(5)超音波検査(心臓・腹部・血管・乳腺・甲状腺など)
超音波(エコー)とは、耳に聞こえない程の高い周波数の音波のことで、人体に入射し、その反射の量や強さを画面上に明るさの強弱などで表す事で、体の内部を画像化することができます。
超音波検査は、人体に害がなく苦痛を伴わない検査なので、心臓をはじめ、肝臓・胆嚢・膵臓などの腹部臓器、乳腺・甲状腺などの体表臓器、下肢動・静脈や頸動脈・透析用シャント血管などの血管領域と、幅広い領域の検査が可能です。検査時間は約15~30分です。
(6)肺機能検査
肺の大きさや息を吐く勢いなどを調べる検査です。肺活量や努力性肺活量を測定することにより、肺や気道の障害の程度や、呼吸困難の原因の鑑別に有用です。また、麻酔や手術時に呼吸管理が安全に行えるかどうかの判定のために、手術前にも行われます。検査時間は約10~15分です。
(7)呼気NO濃度測定検査
呼気中の一酸化窒素(NO)濃度を測定することで、喘息の主な病態である「好酸球性の気道炎症」の存在を調べる検査です。喘息の診断だけでなく、治療管理においても有用な検査です。検査時間は約10分です。
(8)聴力検査
ヘッドフォンを両耳の装着し、様々な高さの検査音の“聞こえ”を調べる検査です。左右別々に検査し、聞こえるもっとも小さい音の大きさを調べます。難聴の程度やその種類を診断することができます。周囲の雑音を遮蔽する防音室の中で検査します。検査時間は約15~20分です。
(9)神経伝導速度検査
末梢神経を電気刺激し、誘発された電位を記録して、伝導速度や振幅などを計測することにより末梢神経疾患や脊髄疾患の診断や病態の把握に有用な検査です。神経を電気で刺激するため、少し疼痛を伴います。心臓ペースメーカーを装着している患者様には施行できません。検査時間は約60分です。
(10)睡眠時無呼吸検査・簡易睡眠時無呼吸検査
様々なセンサーを装着し、寝ている間に呼吸が止まっていないか、浅くなっていないかを調べる検査です。詳しくは、睡眠時無呼吸外来の案内をご参照ください。
3.病理検査部門(病理診断科参照)
チーム医療
患者様から、そして医師、看護師、病院全体から必要とされる臨床検査科として、臨床検査技師の専門性を生かしたサポートを行っていこうと積極的にチーム医療に参画しています。
ICT(感染制御チーム)、NST(栄養サポートチーム)、褥瘡予防対策チーム、糖尿病療養指導などの組織横断的診療支援や患者様向けの医療サービス提供活動を行っています。その他、クリニカル・パス委員会、医療安全委員会、輸血療法委員会にも積極的に関与しています。
(1)糖尿病療養指導活動
- SMBGの指導、CGM、FGMデータの電子カルテへの取り込み
- 糖尿病教室
(2)ICT感染制御チーム活動
- 週1回のラウンドへの参加
- 月1回の院内感染対策予防委員会への参加
- 耐性菌の通報とアンチバイオグラムの作成
(3)NST(栄養サポートチーム)活動
- 週1回のラウンドへの参加
- 検査データの作成・提供
- 月1回のNST委員会への参加
認定技師・資格者数
認定機関 | 取得資格 | 人数 |
日本臨床検査同学院 | 緊急臨床検査士 | 6 |
二級臨床検査士(病理) | 4 | |
二級臨床検査士(微生物) | 2 | |
二級臨床検査士(循環生理学) | 1 | |
日本輸血細胞治療学会 | 認定輸血検査技師 | 1 |
日本臨床細胞学会 | 細胞検査士 | 5 |
International Academy of Cytology(IAC) | 国際細胞検査士 | 1 |
日本超音波医学会 | 超音波検査士(消化器) | 5 |
超音波検査士(循環器) | 4 | |
超音波検査士(血管) | 4 | |
超音波検査士(体表) | 3 | |
超音波検査士(泌尿器) | 2 | |
超音波検査士(健診) | 1 | |
4学会構成血管診療技師認定機構 | 血管診療技師 | 2 |
日本睡眠総合健診協会 | CPAP療法士上級者 | 2 |
日本糖尿病療養指導士認定機構 | 日本糖尿病療養指導士 | 2 |
日本臨床栄養代謝学会 | 栄養サポートチーム専門臨床検査技師 | 1 |
医療情報学会 | 認定医療情報技師 | 2 |
健康食品管理士認定協会 | 健康食品管理士 | 1 |
日本臨床衛生検査技師会 | 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師 | 2 |
認定病理検査技師 | 1 | |
認定一般検査技師 | 1 | |
その他 | 一般毒物劇物取扱者 | 2 |
特定化学物質等作業主任者 | 2 | |
有機溶剤作業主任者 | 2 | |
特別管理産業廃棄物管理責任者 | 1 |
臨床検査を終了した残余検体の使用についてのお願い
社会医療法人景岳会南大阪病院 診療支援部 臨床検査科では、より良い臨床検査の提供を目指して、検査の精度管理の向上、医療従事者の教育、新規検査機器の導入等の取り組みを行っています。「臨床検査を終了した既存資料(残余検体)の研究、業務、教育のための使用について –日本臨床検査医学会の見解-」を遵守し、以下のように残余検体の一部を 再利用いたします。上記趣旨をご理解いただき、ご協力を賜りますようお願いいたします。
1.対象残余検体について
当院で臨床検査が行われた後の残余検体を対象とします。(当院では通常、検査終了後約1週間保存されたのち適切な方法で廃棄されます。
2.使用目的について
以下の目的で残余検体を使用させていただきます。
- 検査の精度管理、新規機器・検査の導入等の日常業務における品質の向上
- 病院実習等の医学系教育
3.個人情報について
対象の残余検体は、氏名・生年月日・住所・電話番号などの個人情報をすべて削除してから使用されますので、個人情報が漏れることはありません。また、患者様の生命・健康に直接影響を及ぼすこともなく、診療上の不利益を受けることもありません。
臨床検査を受けられる患者様におかれましては、残余検体の上記利用にご理解、ご協力いただきますようお願いいたします。なお、残余検体の利用に関してご質問のある場合は、診療支援部 臨床検査科までご連絡下さい。