診療科部長からのご挨拶
泌尿器科では泌尿生殖器領域の疾患全般について診療いたします。尿路では腎臓・尿管・膀胱・尿道の疾患を、男性生殖器では前立腺・精巣の疾患に対する治療を行っています。外来診察は月曜日から土曜日までの午前中、毎日診察しています。
泌尿器科領域では近年、内視鏡およびビデオシステムの性能の向上、新たな手術用デバイス(カテーテル類など)の開発が目覚ましく、当院においてもこれまで最新の手術器具を積極的に導入し、低侵襲で安全な治療に力を注いできましたが、2024年1月から、さらに精度が高く低侵襲で安全に手術することが可能な手術支援ロボット(ダビンチ:da Vinci Xi)を導入しました。
診療科の特色、活動内容
・外来では排尿に関する症状(頻尿・夜間頻尿、排尿困難、尿失禁など)で受診される患者さんが多く、尿検査や超音波検査など苦痛のない簡単な検査で診断し、病状(前立腺肥大症、過活動膀胱など)に応じて内服薬で治療します。内服治療では効果不十分な前立腺肥大症に対しては経尿道的内視鏡手術を行っています。
・泌尿器悪性腫瘍(腎癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍など)に対しては、手術をはじめとし、抗癌剤治療を含めた集学的治療を診療ガイドラインに基づいた標準治療に準拠しながらも、個々の患者さんの年齢、病期、希望などを考慮し、最適な治療を提供できるよう心がけています。
手術療法においては、多くの手術を経尿道的内視鏡手術や腹腔鏡手術で行い、できるだけ低侵襲な治療を実施しています。現在、前立腺癌に対する外科的治療として、ロボット支援手術は標準的治療となっていますが、当院においても2024年1月からは手術支援ロボットda Vinci Xiを導入し、ロボット支援前立腺全摘除術を開始しました。また小径腎癌に対しては腎機能温存を目指したロボット支援腎部分切除術を2025年7月から開始しました。今後、浸潤性膀胱癌に対するロボット支援膀胱全摘除術も開始する予定です。
なお、近年特に前立腺癌の増加が著しく、早期診断・早期治療の重要性から、腫瘍マーカーPSAによるスクリーニングおよび前立腺生検を積極的に行っています。前立腺生検は局所麻酔でも可能ですが、当院では無痛で検査が可能な静脈麻酔での前立腺生検をお勧めしています。
ロボット手術とは
ロボット手術とは、手術支援ロボットを使用した腹腔鏡手術のことで、術者が拡大された3D画像を見ながら、従来の腹腔鏡手術では難しい角度の視野確保やロボット専用の鉗子が人間の手首以上の可動域で手ブレなく操作できるため、非常に精緻な手術を行うことができます。
ロボット手術のメリットについて
- 傷口が小さい
- 出血量が少ない
- 術後の疼痛が少ない
- 回復が早い
- 機能温存に優れている


尿路結石症について
尿路結石に対しては、小さい結石であれば自然に排石する人もいますが、大きい結石や自然に排石しない場合は結石破砕術の適応となります。また、疼痛が続けば日常生活に支障を来たしますので、できるだけ手術までの待ち時間を短く結石破砕術を提供できるよう心がけています。当院では経尿道的結石破砕術(TUL:レーザーで破砕します)を年間70件程度行っております。なお、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は2023年10月末をもちまして終了いたしました。
前立腺癌検診について
また、令和3年から「大阪市前立腺がん検診」にも協力する体制をとり、大阪市民の前立腺癌の早期発見・早期治療に貢献しています。
NCD事業の参加について
医療の現状を把握し、より安全で質の高い医療を提供することを目的とした事業(NCD:National Clinical Database)に、2018年4月1日より泌尿器科も参加することになりました。
内容に関しては個人情報保護法に基づき個人情報(特に個人名等)が病院外で特定されることのない形で提出されますので、ご理解の上ご協力の程よろしくお願いします。
医療機器の紹介
手術支援ロボット ダビンチ(da Vinci Xi)
Da Vinci Xiはペイシェントカート、ビジョンカート、サージョンコンソールの3つの機械で構成されています。
① ペイシェントカートは、患者さんの患部に挿入する3本の鉗子を取り付けるアームと、術野を確保するカメラを取り付けるアームの4本から構成されているロボットの本体です。サージョンコンソールで操作している医師の手の動きを正確に再現し手術を行います。人の手より大きな可動域と手ブレ補正機能を備えており、人の手の動きを緻密に再現するため、正確かつ安全な操作が可能です。
② ビジョンカートは、ペイシェントカートから送られる画像を拡大したハイビジョン3D画像として映し出され、手術助手や手術スタッフも同じ画像が共有されます。
③ サージョンコンソールは、術者が患者さんの体内をリアルな3D画像で見ながら操作して手術を行う操作台です。

内視鏡システム
近年、内視鏡外科手術は体に負担が少ない低侵襲な手術として、消化器外科、胸部外科、泌尿器科などで幅広く普及しています。当院のシステムはフルハイビジョン(フルHD)使用による観察性能向上により、安全・安心・高効率な内視鏡手術が可能です。
また、軟性内視鏡の導入により、術野の正面視だけでなく、対象物の側面や裏側の観察も可能となり、より安全で確実な合併症の少ない手術が可能となります。

現在行っている治療
前立腺癌
PSA高値で受診された患者さんには、前立腺MRIを撮影し、癌を疑う所見の有無、部位を確認後に前立腺生検を行い確定診断します。
前立腺癌と診断された場合、早期癌(転移のない限局癌)であればロボット支援前立腺全摘除術の適応があります。放射線治療を希望された場合は他の病院に紹介します。80歳以上の高齢者は一般的にはホルモン療法を行います。転移のある進行癌と診断された患者さんはホルモン療法や化学療法を行います。
膀胱癌
筋層浸潤のない表在性膀胱癌に対しては経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。筋層浸潤性膀胱癌に対しては膀胱全摘除術および尿路変向術を行います。転移をともなう進行癌に対しては化学療法(抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤、抗体薬物複合体)を併用した集学的治療を行います
TURisシステム
膀胱癌や前立腺肥大症に対する経尿道的手術(TUR)は、従来灌流液に非電解質溶液を用いていたため、低ナトリウム血症(TUR症候群)という合併症を起こす可能性がありました。
当院では、灌流液として生理食塩水(電解質溶液)を使用するTURisシステムを導入しています。これにより、低ナトリウム血症は起こりません。また、このシステムを用いることで手術中の閉鎖神経反射が起こりにくく、TURの合併症である膀胱穿孔を起こしにくくなります。さらに切除した部位からの出血を減少させる効果もあり、安全で確実な合併症の少ない手術が可能です。


腎盂・尿管癌
手術適応のある腎盂・尿管癌に対しては腹腔鏡下腎尿管全摘除術を行っていますが、今後はロボット支援腎尿管全摘除術も行う予定です。転移をともなう進行癌に対しては化学療法(抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤、抗体薬物複合体)を併用した集学的治療を行っています。
腎癌
腫瘍径7cm以下の小径腎癌に対しては腎機能温存を目指したロボット支援腎部分切除術を行っています。ただし腫瘍径が大きい場合あるいは腫瘍の解剖学的位置により腎部分切除術が困難な場合は腹腔鏡下腎摘除術を行います。転移をともなう進行した腎癌の場合は、化学療法(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)を行います。
副腎腫瘍
ほとんどが良性腫瘍(副腎腺腫)ですが、副腎ホルモンの分泌亢進により高血圧・糖尿病等の原因となっている場合は腹腔鏡下副腎腫瘍摘除術を行います。副腎癌は稀な疾患ですが、副腎癌が疑われる場合は腹腔鏡下副腎腫瘍摘除術あるいはロボット支援副腎腫瘍摘除術を行います。
精巣腫瘍
精巣腫瘍が疑われる場合は可及的速やかに精巣摘除術を行い、病理組織診断を行います。精巣腫瘍は転移が早く(特にリンパ節転移)、診断時に転移している場合は手術後に化学療法(抗がん剤)を行います。
尿路結石症
小さい結石は飲水と内服薬で自然に排石しますが、8mm以上の結石は自然排石率が50%以下と低いため、当院では8mm以上の結石に対しては結石破砕術をお勧めしています。
経尿道的結石破砕術(TUL)は麻酔下(全身麻酔あるいは腰椎麻酔)で、硬性尿管鏡(rigid TUL:以下r-TUL)や軟性腎盂尿管ファイバー(flexible TUL:以下f-TUL)を尿道から挿入し、尿管あるいは腎内の結石を拡大されたモニターで確認しながら砕石します。砕石装置は硬い結石に対しても砕石効果の高いホルミウム・ヤグレーザーを使用しますので、確実な砕石が可能です。破砕された結石片は細い鉗子を用いて摘出します。



患者さんの結石の部位、大きさによりr-TULとf-TULを使い分け、治療成績の向上に努めています。
特に軟性腎盂尿管ファイバーは画像の解像度に優れたデジタルスコープ(OLYMPUS社製 URF-V3)を使用していますが、リユースタイプの軟性腎盂尿管ファイバーでは対応困難な結石に対してはシングルユースタイプの軟性腎盂尿管ファイバー(OTU社製 WiScope)を導入しています。WiScopeは軽量・高画質でさらに先端が細径で湾曲角度も大きく、下腎杯の結石や大きな腎結石を破砕する際に有用です。


TULは合併症の少ない低侵襲な治療ですが、注意を要する合併症として尿路感染による発熱(腎盂腎炎、敗血症)があります。原因として灌流液による腎盂内圧の上昇が関連しているため、当院では圧コントロールされた送水により腎盂内圧を一定に保ちながら破砕できる装置(STORTZ社製 エンドマットSELECT)を導入しました。その結果、エンドマット使用例では現在のところ術後発熱性尿路感染症の合併はほとんど見られなくなりました。
また、レーザー破砕装置は2025年8月からエダップ社製パルスホルミウム・ヤグレーザー Quanta Lithoを導入しました。本装置は結石の硬さや大きさに適した治療モード(硬い結石に対して有効なハードストーンモード、結石を粉状に砕石するダスティングモード)の切り替えができるため、従来の破砕装置と比べて治療時間の短縮が可能となりました。
入院期間は手術前日入院で4~5日間程度です。

前立腺肥大症
内服治療で排尿状態が改善しない場合や尿閉(尿が出ない状態)をきたしている場合は経尿道的前立腺切除術を行います。
令和6年度手術実績(1月~12月)
総手術件数(前立腺生検含む) 505例
*総手術件数(前立腺生検除く) 416例
<ロボット支援手術> 26例
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 26例
<腹腔鏡手術> 14例
腹腔鏡下腎摘除術 6例
腹腔鏡下腎尿管全摘除術 7例
腹腔鏡下後腹膜腫瘍生検 1例
<開腹手術> 2例
膀胱切石術 1例
膀胱瘻造設術 1例
<経尿道的手術> 331例
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT) 65例
経尿道的前立腺切除術(TUR-P) 20例
経尿道的腎尿管結石破砕術(TUL):レーザー使用 80例
経尿道的膀胱砕石術 17例
尿管鏡検査、尿管鏡下生検 14例
経尿道的尿道狭窄手術 3例
経尿道的尿管ステント留置・交換術 127例
経尿道的電気凝固止血術 4例
経尿道的腎盂腫瘍切除術(レーザー使用) 1例
<その他> 43例
陰嚢水腫根治術 5例
包茎手術 15例
陰茎コンジローム焼灼術 5例
陰茎癌 陰茎部分切除術 1例
その他 17例
<前立腺生検> 89例
スタッフ一覧
-
竹垣 嘉訓
主な資格
- 日本泌尿器学科会(指導医・専門医)
- 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会(腹腔鏡技術認定医・Da Vinci Console Surgeon)
- 身体障害者指定医 (膀胱・直腸機能障害)
-
豊川 起弘
主な資格
- 日本泌尿器科学会(指導医・専門医)
- 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 (腹腔鏡技術認定医・Da Vinci Console Surgeon 専門医)
- 日本透析医学会(専門医)
- 身体障害者指定医(じん臓機能障がい)
-
石崎 功汰
主な資格
- 日本泌尿器科学会(専門医)
- 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会(腹腔鏡技術認定医・Da Vinci Console Surgeon)
- 日本透析医学会
-
岡本 七海
主な資格
- 日本泌尿器科学会
- 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
- 日本透析医学会
泌尿器科担当表
ご注意:急患・学会・医師の交代等で変更もありますので、詳しくは外来受付にてご確認ください。
※当日予約は承っておりません
※予約センター06-6683-9416 受付時間:月-金:8:30~17:00、土:8:30~15:00
| 泌尿器科担当表 | ||||||
| 午前 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 |
| 竹垣 豊川 (予約) | 岩井 ~11:30 (予約) | 竹垣 石崎 (予約) | 南 ~11:30 (予約) | 豊川 岡本 (予約) | 石崎 (予約) | |