内視鏡外科 副院長の竹村と申します。
南大阪病院外科では様々な患者さんのニーズにお応えできるような工夫をいくつか導入しております。
今回は、当院で2021年7月より行なっている「女性外科専門外来」についてご紹介します。外科医が手術の対象とする病気は様々なものがあります。男性・女性それぞれ特有の病気もありますが、当然のことながら多くの病気は男性にも女性にも発生します。その一方で、手術を行う外科医は、女性医師に比べ男性医師が圧倒的に多いため、必然的に外来診察を行ったり手術を担当する医師は男性外科医が多いことになります。
しかし、女性患者さんの中には男性医師の診察に抵抗がある方や、躊躇される方があります。このような方に対応できる外来が「女性外科専門外来」です。女性専用外来を有する病院は多数ありますが、多くは女性特有の乳腺疾患や、婦人科疾患を扱う外来であり、鼠径ヘルニアや内痔核などを含む外科医がよく経験する病気は通常の外科外来で扱っています。しかし当院の「女性外科専門外来」の特徴は、外来診察から麻酔・手術までを女性外科医・女性麻酔科医・女性看護師が担当するということにあります。このため、男性医師の診察を躊躇われる方にも安心して外来受診から入院・手術までを受けていただくことができます。
現在日本では医師の総数は増加していることが報告され、2018年末で約31万人とされています。しかし、診療科別に見ると麻酔科・放射線科・精神科・内科などは増加していますが、外科・産科婦人科は減少しています。さらに外科医の年齢構成を見ると40代以上の割合が高くなり、30代までの若い外科医の割合が減少の一途を辿っています。また、医師全体のうち女性医師の割合は、近年は増加し19%を占めていますが、外科医のうち女性医師の割合は約7%程度とされており、他の科(内科:16.4%、小児科:33.7%、皮膚科:44.3%など)に比べると非常に女性医師の割合が低いことが特徴です。このため、女性外科専用外来を有する病院は非常に少数に止まっています。
当院では女性外科医師が常勤することで、外科的な治療が必要な病気をお持ちの女性の方を対象に女性外科医師による女性外科専用外来を開始することができました。開始以来、鼠径ヘルニア・腹壁ヘルニアや胆石症などの良性疾患のみならず、胃癌・大腸癌などの悪性疾患の患者さんも女性外科専用外来を希望され、来院いただけるようになりました。