サイト内検索

夜間に苦いものが口まであがってくる、胃液が逆流してくる症状について

外科コラム

内視鏡外科 副院長の竹村と申します。

「夜間に苦いものが口まであがってくる」や「寝ているあいだに食べたものが口まで逆流してくる」という症状で悩まれておられる方が多くおられます。この原因としては様々なものがありますが、胃から食道への逆流を防止している食道と胃のつなぎ目(噴門)の機能が低下することによって生じることが多いと考えられています。この症状改善のためには、

1.上半身を少し上げて就寝する、
2.胃から逆流してくるものの刺激を抑える(胃酸抑制)
3.胃からの排出を良くする薬を使う

などがあり、症状が少し改善する方も多くおられますが、これらによっても症状が持続する方もあります。

この原因としては、頭を高くすることや、薬では食道に逆流してくる胃内容物を減らしたり、刺激性を下げたりは可能ですが、逆流することを止めることはできず、やはり逆流が生じていることにあります。このような症状が残る方に有効な治療法が外科的治療です。外科的治療は食道裂孔ヘルニアや噴門の機能を手術による回復させることで、逆流そのものを抑制できることにあります。

この逆流を抑える手術はかなり以前から行われていますが、日本では逆流性食道炎が少ないと考えられてきたため、手術件数は非常に少数のみしか行われてきませんでした。さらに開腹で行われることが一般的であったため、手術による影響が非常に大きく、良性の疾患である逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアに対してはバランスの悪い治療法でした。

しかし、近年の腹腔鏡手術器具の発達に伴い、これまで開腹で行われてきた様々な手術が、小さな傷で行うことが可能となり、体に与える影響の少ない低侵襲手術(腹腔鏡手術)の普及が進みました。逆流性食道炎に対しても腹腔鏡手術が一般的となり、繊細で体への影響の少ない手術へ変わって行きました。これに伴い、ご高齢の方にも手術を適応することが可能となり、逆流性食道炎やご高齢の方に多い食道裂孔ヘルニアに対する手術件数が増加してきました。

当院では2017年より食道裂孔ヘルニア・逆流性食道炎に対する腹腔鏡手術を導入し、様々な手術の改良を行うとともに積極的に行うことで手術件数が増加しました。これにより、手術術式への習熟が進み、安定して手術を行うことができるようになることで、手術時間が短縮しほとんどの手術を2時間以内に終えることが可能となりました。

さらに当院では様々な食道の病気に対応するために、食道疾患の診療を専門とする医師が診療にあたるとともに、通常の検査では診断が難しい食道の病気の確定診断を可能とする特殊な検査も行えるようにしております。

「夜間に苦いものが口まであがってくる」や「寝ているあいだに食べたものが口まで逆流してくる」という症状をお持ちの方は当院外科を受診いただければ、症状改善の一助になり得る可能性があると考えます。