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痔を切らずに治療する『ジオン注(痔核硬化療法)』を開始しました

外科コラム

 『ジオン注(痔核硬化療法)』とは、脱出を伴う内痔核(いぼ痔)に対して、手術ではなく注射による治療を行うものです。痔核は、日本人には非常に多く見られる病気であり、肛門出血が最も多い症状です。痔核は直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核がありますが、内痔核が大きくなって脱出すると、違和感や出血が頻回に生じるようになります。

■ジオン注による治療法
この「脱出を伴う内痔核」にジオン注を投与して痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に固着・固定させる治療法です。通常行われている痔核を切り取る手術と違い、痔核の痛みを感じにくい部分に注射をするので「傷口が傷む」というようなことは少なく、入院期間も短縮可能です。ジオン注はひとつの痔核に対して4ヶ所に分割して投与する方法で、別名を四段階注射法といいます。痔核が複数ある場合には、それぞれに投与します。投与後しばらく点滴を続け、麻酔の影響がなくなるまで安静にする必要があります

■ジオン注の投与後
ジオン注の投与後には痔核に流れ込む血液の量が減り血液が止まり、脱出の程度も軽くなります。脱出していた部分が次第に小さくなり、1週間から1ヶ月で脱出が改善してきます。その後、出血や脱出、肛門のまわりの腫れがなくなります。
ただし、ジオン注の再発率はゼロではありません。医療機関により様々ですが10%程度とされ、一般的な手術より再発率は高いと言われています。また、再発に対しては、再度ジオン注を行うか、その他の治療法を選択することになります。
ジオン注による治療を希望される方につきましては外来受診時に担当医から詳しく説明させていただきます。