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食道裂孔ヘルニアについての豆知識(3)―治療についてー

外科コラム

 食道裂孔ヘルニアは食道裂孔が開くことにより胃の位置が変化することを指しています。

 しかし、食道裂孔ヘルニアがあっても症状の無い方も多く、無症状のまま生活されている方が多いという特殊な病気です。一方で症状のある方の多くは逆流性食道炎と同様の症状であり、逆流性食道炎に対する薬を使うことで症状が軽くなる方が多くみられます。
 ただ、食道裂孔ヘルニアの症状のうちでも食後の不快感、嘔吐、食物の逆流は様々な薬でもなかなか改善せず、症状が残る方が多い傾向にあります。

食道裂孔ヘルニアに対して行われる外科的治療


 このような方に、有効なのが食道裂孔ヘルニアに対する外科的治療です。
 外科的治療は胃を元の位置に戻すだけでなく、胃から食道へ逆流しにくい形に食道と胃のつなぎめを作り替えます。作り替える方法には主にN i s s e n 法とToupet法の2種類ありますが、日本人にはToupet法が向いているとされており、ガイドラインでも推奨されています。

  しかし、現在の日本全体で行われている食道裂孔ヘルニアに対する手術件数は1年間に1400件程度で、この手術を行なっている施設は少数です。また、この手術を行なっていても1施設あたりの手術件数は非常に少数で、治療成績が安定しません。
 さらに、食道裂孔ヘルニアは良性の病気であるため、がんなどの悪性の病気を主に扱う大学病院やセンター病院では、手術件数は少数しかありません。

 当院では2017年から食道裂孔ヘルニアに対する手術を積極的に行い、年間60件以上の手術件数があり、2019年から2023年まで5年連続で日本で最も多い手術件数となりました。 
 食道裂孔ヘルニアに伴う症状が改善せずにお悩みの方は当院外科外来を受診いただければ、手術の詳細について説明させていただきます。

この外科コラムは、広報誌「もっとみなみおおさか 2025年秋」に掲載されています。
広報誌「もっとみなみおおさか」はPDFでご覧頂けます。こちらからどうぞ。