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食道裂孔ヘルニアについての豆知識(4)ー手術適応についてー

外科コラム

 食道裂孔ヘルニアは食道裂孔が開くことにより胃の位置が変化することを指しています。

 食道裂孔ヘルニアは高齢者に多い病気のひとつですが、症状としては逆流性食道炎の症状を訴えられる方が最も多く、逆流性食道炎に対する薬で症状が改善することが多いのが特徴です。しかし、食道裂孔ヘルニアの症状は逆流性食道炎だけでなく、嘔吐・胸部不快感・喉まで胃液が上がってくるなど多彩で、特に嘔吐や喉まで胃液が上がってくるなどの症状は薬ではなかなか改善しません。このため、症状がなかなか改善しない方には何種類かの薬を組みわせて用いられる方が多くなります。

 しかし、薬を組み合わせて使用してもやはり症状の残る方もあり、このような方には外科的治療もひとつの治療方として選択されます。これに加え、通常は食道裂孔ヘルニアで胸の方に胃が脱出しますが、大きな食道裂孔ヘルニアの場合には、胃だけでなく大腸や小腸も脱出することがあります。このような場合には、脱出した腸の壊死も生じることがあるため、手術の適応になります。しかし、食道裂孔ヘルニアは胃の位置が変化するという良性の疾患であり、厳密に手術適応が決まっているわけではなく、治療のガイドラインもありません。さらに、食道裂孔ヘルニアは日本では手術件数が少なく、2023年の統計で年間1300件程度しか行われていません。このため手術の経験が多く、治療に関しての実績がある病院は非常に少数です。当院では、2017年より様々な症状が持続する食道裂孔ヘルニアの方に対して手術を積極的に行い、2019年から2023年の5年連続で食道裂孔ヘルニアの手術件数が日本最多になりました

2023年度全国食道裂孔ヘルニア手術件数集計

順位施設名手術件数在院日数
景岳会南大阪病院64件9.8
東京慈恵会医科大学病院48件11.8
岡山大学病院22件16.1
九州大学病院15件23
津山中央病院15件16.1
社団秀峰会川村病院13件16.9
自治医科大学附属病院13件18.5
名古屋大学医学部附属病院13件18.4
おもと会大浜第一病院13件12.9
10順天堂大学医学部附属順天堂病院12件32.9
長崎大学病院12件12.7
出典:病院情報局

食道裂孔ヘルニアの症状でお悩みの方は、是非当院外科外来を受診ください。

この外科コラムは、広報誌「もっとみなみおおさか 2026年春号」に掲載されています。
広報誌「もっとみなみおおさか」はPDFでご覧頂けます。こちらからどうぞ。