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鼠経ヘルニアに対する土曜日手術を始めました

外科コラム

内視鏡外科部長の竹村と申します。

 当院で2022年4月より開始しました、土曜日の鼠経ヘルニア手術についてご紹介します。
土曜日に手術をしている病院は少ないですが、手術を受けられる方にとっては週末が有効に使えることと平日の予定への影響が最低限で済むことから、働いておられる方には有用であると考え本年より導入を行いました。

 鼠経へル二ア(いわゆる脱腸)は、お腹の筋肉の隙間からお腹の臓器(多くは小腸・大腸)が皮膚の直下まで脱出することで下腹部(鼠径部)が膨隆する状態であり、薬や運動では改善は望めず鼠経ヘルニアに対する治療法は外科的治療しかありません。小児期に多い疾患ですが、ご高齢の方でもお腹の筋肉が弱くなるに従って発症しやすくなります。このため、ご高齢の方の人口が増えるに従って、鼠径ヘルニアをお持ちの方が増えることになります。
 この、鼠径ヘルニアをお持ちの方全員に手術が必要になるわけではありませんが、放置すると脱出が大きくなり、さらに脱出した腸が戻らなくなり(嵌頓)、腸閉塞や脱出腸管の血流障害(絞扼)から壊死・裂孔も生じる可能性があります。このため、自覚症状のある鼠径ヘルニアは手術適応となっています。

鼠経へル二ア(いわゆる脱腸)

■お腹の筋肉の隙間からお腹の臓器(多くは小腸・大腸)が皮膚の直下まで脱出することで下腹部(鼠径部)が膨隆する状態。
■鼠経ヘルニアに対する治療法は外科的治療のみ。
■放置すると脱出が大きくなり、さらに脱出した腸が戻らなくなり(嵌頓)、腸閉塞や脱出腸管の血流障害(絞扼)から壊死・裂孔も生じる可能性がある。
■手術は鼠径部切開法(下腹部を切開し、体表から穴を塞ぐ)と腹腔鏡手術(お腹に炭酸ガスを入れて、空間を作り細かい手術器具を入れて体内から穴を塞ぐ)の2種類がある。

 この鼠経ヘルニアに対する手術は鼠径部切開法(下腹部を切開し、体表から穴を塞ぐ)と腹腔鏡手術(お腹に炭酸ガスを入れて、空間を作り細かい手術器具を入れて体内から穴を塞ぐ)の2種類があります。どちらを選択するかは施設によって様々ですが、当院では腹腔鏡手術を標準術式としています。腹腔鏡手術の利点としては、全身麻酔が必要ですが傷が非常に小さい、筋肉の隙間にできた穴を確実に確認しやすい、術前に診断できない穴があったり、片方しかないと思っていたヘルニアが両側にあった場合でも同じ傷で同様に手術が可能である、などがあります。どちらの手術でも治療成績に大きな差が無いため、当院では患者さんのご希望に沿えるようにどちらの術式でも選択可能としています。

 鼠径ヘルニアに対する手術は、一般に鼠径部切開法であっても腹腔鏡手術であっても、手術時間は短く入院期間も短期間で済む手術であり、患者さんに及ぼす影響が少ないため、入院の無い日帰り手術で行っている病院もしくはクリニックもあります。

 当院では手術日の傷の確認が必要と考えているため、日帰り手術は行っておりませんが、1泊2日の入院には対応しております。このため、本年度より週末を有効に利用でき平日の仕事にできるだけ影響を与えないようにするため土曜日の鼠経ヘルニアの手術を始めました。土曜日に手術することで、土曜日入院・日曜日退院も可能になり、平日の勤務や予定を変えずに手術を受けることが可能になります。

当院の鼠経へル二ア土曜日手術のメリット

■入院期間が平日の予定や仕事に与える影響を最低限にできる。
■土曜日入院・日曜日退院も可能。
■導入している病院が少ない。
■腹腔鏡手術で行うことで創が小さく、回復が早い。

 下腹部や足の付け根のあたりの腫れや違和感のある方で、土曜日の鼠径ヘルニア手術について話を聞きたいと思われる方は、当院外科を受診していただければ土曜日手術につきまして説明させて頂きます。