食道裂孔ヘルニアは非常に頻度の高い病気で、内視鏡検査をすると約半数の方に診断され、特にご高齢の女性の方に多いことが知られています。しかし、食道裂孔ヘルニアがある全ての方に症状があるわけではなく、症状の無い方も多くおられます。一方、症状として最も多いのは、胃から食道内へ胃酸が逆流する逆流性食道炎です。
この食道裂孔ヘルニアによる逆流性食道炎を改善するためには胃酸分泌を抑える薬が使われ、多くの方で症状が改善するか軽くなります。しかしながら、この薬よる治療は、食道裂孔ヘルニアそのものを改善することはできないため、どうしても長期間の投与が必要になります。なかには、薬によっても症状が改善しない方がおられ、薬剤抵抗性逆流性食道炎と呼ばれます。このような方には食道裂孔ヘルニアを外科的に修復することで症状の改善を目指す腹腔鏡手術が適応になります。
また、食道裂孔ヘルニアが大きくなると、症状として嘔吐・夜間の逆流・胸部不快感などが生じることが多く、薬によりなかなか改善しません。この様な方にも、外科的治療が有効であることが知られています。
当院外科では、2017年より食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術を開始し、これまで400例の方に手術を行ってきました。食道裂孔ヘルニアが診断されておられる方で、薬で様々な症状が改善しない方、薬を長く飲むのに危惧がある方は当院外科を受診いただければ食道裂孔ヘルニアの手術について詳しく説明させていただきます。

食道裂孔ヘルニアと症状
- 横隔膜の下(お腹)にある、胃の一部が胸の方に飛び出してしまう形態的な変化を、食道裂孔ヘルニアと呼びます。
- 加齢や肥満、高齢化が原因と考えられていますが、はっきりした原因はわかっていません。近年、増加傾向にあります。
- 食道裂孔ヘルニアがあっても症状が出ない方が多いですが、食道と胃の繋ぎ目が緩むことで、胃酸が食道に逆流しやすい状態になっているため、胸やけや呑酸などの逆流性食道炎の症状を自覚する方もおられます。
- 大きな食道裂孔ヘルニアでは、嘔吐や胸部不快感、夜間の頻回の逆流が生じたり、食べ物がつかえる感じや鳩尾(みぞおち)の部分が強く痛む方もおられます。

この外科コラムは、広報誌「もっとみなみおおさか 2025年春号」に掲載されています。
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